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都市木造化に向けた意義あるプロジェクトに参画しました

Vol.1 8階建ての木造オフィスビル 「OS melia」

中小規模の木造ビルを建設

近年、「都市(まち)の木造化」が進められています。この取り組みの狙いは、住宅だけでなく、ビルや施設など様々な建物の主要構造部に木を活用し、温室効果ガスの吸収源を増やすこと。つまり、都市に森の機能をもたせることで、脱炭素社会の実現へと舵を切っているのです。CO2削減の他にも、断熱効果や通気性・調質性の高さなど、木造ビルのメリットは多々あります。しかし安全性・耐火性を担保する工法の開発など未だ課題が多く、木造建築にはかなりのコストがかかるというのが現状です。

東京には中小規模の築古ビルやマンションが数多くあります。すでに大手ゼネコンなどは独自に開発した工法で木造の高層ビルや大規模施設を次々に建てていますが、本質的には圧倒的な数を占める中小の建物が木造化してこそ、「都市の木造化」という本来の目的に叶うはずです。そこで、実現可能な導入コストで建て替えできる木造建築技術を開発し、標準化・普及させることを目指して、中小規模の建築物に特化した「都市の木造化促進計画」が始動しました。

2024年6月に竣工した8階建ての木造オフィスビル「OS melia」(東京都中野区)は、その最初の事例です。設計はブルースタジオ一級建築士事務所(以下、ブルースタジオ)、そして施工は私たち礎コラムです。

このプロジェクトへの参画は、設計担当のブルースタジオさんからの声がけによって実現しました。同社とはこれまで25年にわたり、マンションの新築やリノベーションなど様々な案件をともにし、信頼関係を培ってきた間柄です。だからこそ施工業者に選んでもらったのですから、確かな結果を出して信頼に応えたい。さらに、次世代建築に大きく貢献するプロジェクトの第1号を施工することに、誇らしく武者震いする思いもありました。当時のことを当社担当者はこのように振り返ります。

「企画が立ち上がってから着工までに数年を要した案件です。その間、様々な研究機関の協力や支援を受けて開発された構造・工法を、私たちがまず理解する必要がありました。しかし、これまで経験を積んできたこととは何もかも違い、竣工時の景色をイメージしつつも、ではどうやって進めていこうかとゼロベースでのスタートです。それからは、木造建築に特化した業者さんにアドバイスや協力を仰ぎ、まさに試行錯誤の連続でした。でもだからこそ得られた多くのスキルと知見は、当社はもちろん、現場に携わった多くの人たちの財産になったのではないでしょうか」

現在、都市の70%ほどを中小規模の建築物が占め、それらの多くが老朽化による建て替え時期を迎えています。私たちのような地域に根ざした中小規模の会社が木造ビル建築のスキルを獲得していくことが、都市の木造化に大きく働くのは間違いないことです。それだけに木造オフィスビル「OS melia」は建築界での注目度も高く、歴史ある建築誌『新建築』10月号でも大きく取り上げられています。記事のなかでは、このプロジェクの意義、次世代建築への思いとともに工法なども詳しく紹介されていますので、ぜひたくさんの人に見ていただければと思います。

私たちにとって大きなチャレンジではありましたが、この仕事を通じて “木造ビルが並ぶ豊かな未来”に関与できたことは、今後の礎コラムにとっても目指すべき方向へ大きな一歩を踏み出すことができたと感じています。

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